賃貸で初期費用のクレジットカード払いが広がらない理由
ウチコミ!タイムズ編集部
2014/12/19
日常生活のスーパーの買い物でも、電化製品でも、高速道路や旅行など、今では使えない所が無いでしょう。しかし、不動産の取引の現場では未だに現金が主流です。皆さんが「クレジットカード」を利用する時の事を思い出してください。
現金が手元に無い。
今、現金を使いたくない。
近々中に現金が必要。
などと理由は様々ですが「クレジットカード」でなら買い物ができる。という方も沢山いるのではないでしょうか。しかし現在の時点では「不動産業界」で取り入れられているのはほんの一部に限られます。取り入れているのは、サブリースや自社物件の賃貸住宅を取扱う大手不動産業者の一部です。
基本的に、サブリースという形式を取っていても「自社物件」と同じような経営が可能なため行われています。その他の「不動産仲介業」をメインに営業している賃貸業界の大手「エイブル・CHINTAI等」では取り入れられていません。
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現在の不動産業界の「対面式の取引重視」「宅建業法の規制」「クレジットカード・システムの相性の悪さ」などからいままで初期費用で「クレジットカード」を使えないのが普通の感じでした。
◎「対面式の取引重視」「宅建業法の規制」について
これは「重要事項説明書」という「宅地建物取引業法」で定められている事に起因しています。重要事項説明書というのは、対面で契約の前に「宅地建物取引主任者」が借主さんに説明をしてその書類に署名捺印をもらう事が法律で決められていて、違反すると罰則があります。
宅地建物取引業法は、昭和27年に施行された法律です。その当時は、現在の様なインターネット社会まで想像できませんでしたので、想定されているのは「対面の取引」のみ不動産の契約では、契約の時点に「お金がかかわらない」取引は非常に難しいのです。
簡単に言えば、おカネを払わない方と契約をしたり、住宅の鍵を渡す事などできません。その為「初期費用クレジット決済」ですと、どうやってもクレジットカード会社の手続きなどがある為、お金が伴いません。
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◎「クレジットカード・システムの相性の悪さ」とは・・・
先ほども少し触れましたが、契約時点にお金が揃わない事。一番の問題は、クレジットカードを利用する場合に「カード利用手数料」が発生する事です。
現在の賃貸業界では、賃貸住宅の契約をつかさどるのは9割方が「不動産仲介業者」です。不動産仲介業者は、賃貸住宅を仲介しても報酬は「家賃の1か月分」です。
その報酬から「クレジットカードの手数料」を負担するのは割に合わず出来ませんし、やる気はありません。現金で取引した場合には何の負担も無いのに、初期費用をクレジットカード払いの場合だけ負担が増える。ましてや、クレジットカードの手数料は「カード利用金額の3%〜5%」です。
賃貸住宅でクレジットカードを利用された場合、敷金・礼金・前家賃・火災保険料などを合計した金額が使われるのが一般的です。 すると、カード手数料は1万円近くなります。賃貸住宅の仲介手数料しか貰わない不動産会社が、負担しなければいけない金額とも思えない訳ですね。そしてクレジットカード業界の決まりがあります。
「クレジットカードの利用者に、この手数料を負担させる事は禁止」されています。クレジットカードの利用者がカード利用よりも現金利用の方が徳だと思えるような手数料の負担をさせる事がNGとされています。 つまり、差別的な取扱いです。
不動産業界では、契約金を全額受け取る貸主が「賃貸契約」を自ら結ぶわけではありません。この為、相性の悪さがあります。
以上のような理由から、クレジットカードの取扱いが異常に遅れていたわけです。
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次に不動産業界でもクレジットカード対応が当たり前になるのかどうか?
今の現状をお伝えします。すでにクレジットカードが使える物件をお探しの方は下記を見てみてください。
特集 初期費用クレジットカード利用可能物件紹介
この記事を書いた人
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